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2010年8月 5日 (木)

和紙の研究

昨日は水曜日だったので、私が代表をしている今年度までの科研「和紙科研」の作業日。昨日の日記で日中にやったのは、出版社の文理閣に相談のメールを出し、河音さんの解説の修正をして送ったことだけ。ほかは、例によって電車の中での研究である。

日中はもっぱら、和紙科研で技官の方々との打ち合わせであった。

職務上の義務感で始めた研究だが、農学部のE前先生の教示をえることができ、文理融合らしい研究になっている。基本的な方針は、大徳寺文書の重要文化財指定への協力の中で考えた料紙の物理分類方法で、(1)純繊維紙、(2)澱粉紙、(3)パリパリ紙という三分類はかわっていない。純繊維紙というのは、和紙のうちでもっとも高価かつ上品な紙で、王家やそれに準ずる貴族(武家貴族・宮廷貴族)の使用する紙で、歴史用語としては「引合」とか「繭紙」という。繭紙というのは、繭のような美しい縦皺によって名前が付けられたものと思うが、中国で、日本から輸入した最上級の紙を繭紙といっている。これは中国では最高級文書は絹布に書くので、それとの関係もあるかもしれないというのが、まだ確かめていない想像。(2)の澱粉紙というのは、米粉が混ざっている紙で、原料のコウゾよりも重量でいって安いので増量剤として使用するとともに、紙の発色や墨乗などのために使用する。これも厚い紙になると実に立派な紙となる。歴史用語としては普通の材質のものを杉原紙といっている。

 これまで困難だったのが、(3)のパリパリ紙で、これは名前がそれらしくないことでわかるように、どう分類していいかわからなかった。ところが今年の二月・三月に、修復室が和紙を透過光でみるための高輝度のLEDライトを購入した。これでみると、なんと、パリパリ紙にはゲル状の粒子の膜があることがわかった。そして、これは柔細胞というものであるかもしれないという製紙科学の方々の教示をうけ、これまで点検してきた。いちおう(3)柔細胞紙となって、格好がついた。

 ところが、先週、全国でももっとも著名な製紙会社の研究者の方にきていただいて、私たちの研究の中身を紹介かたがた、この柔細胞をみていただこうとしたら、みえない。これはたしかに見えるときとみえない時があるので、僕の目が疲れている(このごろいつも疲れている)ためだと思ったが、その研究者の方にみていただかない訳にはいかないので、いろいろ再チェックをしていたら、ようするに(1)高輝度のLEDライトらによる透過でないと、この膜はみえない。しかも(2)10センチはなして浮かして透過光をみる机の設定でみるとみえない。料紙の裏面に直接の透過光をあてないとみえないということがわかった。歴史学ではよく使われている蛍光灯式の透過光パネルではみえない、しかもLEDライトの高輝度のものを裏面に直接にあてなければみえないという事態が、これではっきりした。

 これまでの和紙研究者に柔細胞膜がみえなかったのは当然であった。LEDライトを導入した技官の方々万歳という結果がよくわかった。これが、先週の木曜日。昨日はその結果を柔細胞膜の観察デッサンともども和紙科研ホームページにあげるのに四苦八苦をして一日を過ごしたのです。ホームページの作り方、ファイルの組み方などは、何度も覚えたのだが、60をすぎた身として当然と自分を慰めているが、すぐにすべて忘れてしまうので、本当に四苦八苦であった。そこで、自分を鍛えるためにブログというのをやってみようと、昨日の夜、家で、このブログを始めた次第。

 これはまったく簡単だ。

 今は昼休み。そろそろ不自由時間。

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