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2011年3月22日 (火)

地震火山(13)宮城資料ネット・ニュースの転載

宮城資料ネット・ニュース95号・東北関東大震災関連第2報(2011年3月17日)

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東北関東大震災より一週間経過
現在の活動報告
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宮城資料ネットの平川新です。
東北関東大震災から1週間が過ぎました。想像を絶する被害に言葉を失うほどです。私の知人にも安否を確認できない方々がたくさんいます。

■文化庁の歴史資料担当の方と連絡をとりました。
文化庁は現在、阪神大震災のときと同様に、全史料協や諸団体・諸大学等と連携しながら、東北関東大地震へ対応する方策を検討しているとのことです。文化庁からお声がけがありましたさいには、ぜひ皆様のご協力をお願い申し上げる次第です。

■東北地方の大地震・大津波としては、『日本三代実録』に出てくる貞観地震(869年)や江戸時代初頭の慶長地震(1611年)が知られています。宮城資料ネットの事務局スタッフは、東北大学防災科学研究拠点グループにも参加しておりますので、これら過去の大地震・大津波の研究を文理連携で実施する準備を進めているところでした。記録や地質調査でみる限り、太平洋沿岸部の宮城県域では大津波が内陸3~4kmまで押し寄せていることが判明しております。さらに調査を進めて津波地図の精度をあげ、来たるべき大地震と大津波に備えた防災地図を作成する予定にしておりましたが、それよりも早く実際の大津波に見舞われてしまいました。
 津波研究者は過去と同様の津波が発生する可能性を指摘しておりましたが、現在では沿岸部まで住宅地が広がり、被害を拡大する結果になってしまいました。開発との兼ね合いは非常にむずかしいところがありますが、結果からいえば過去の大津波の教訓がいかされていなかったということになります。四、五百年に1度の大地震・大津波に備えた社会を、私たちはこれからつくることができるのでしょうか。

■ガソリンが手に入りませんので移動が制約され、被災状況調査が実施できません。そのため現在は、仙台市内の近場の施設や旧家の被災状況の把握と、今後の広域的な被災状況調査のための準備、宮城県・仙台市の文化財部局や博物館、文化庁等との連携体制作りをおこなっております。

■資料ネット事務局のあった東北アジア研究センターの建物が大破して立ち入り禁止になりましたので、学生支援部のご協力を得て、現在下記に臨時オフィスを開いております。宮城資料ネットの事務局員もここに詰めています。

 名称:東北大学防災科学研究拠点臨時オフィス
 場所:東北大学 川内北キャンパス 講義棟A棟2階 資料室
         *臨時オフィスに固定電話はありません。
     *平川および佐藤の研究室の固定電話はつながりません。
        平川携帯 090-4316-2734
         同携帯メール ahi-392-2734@docomo.ne.jp
             佐藤大介携帯 090-2997-4264
         同携帯メール   dsato117-theprospector@ezweb.ne.jp

※メールニュース号数について
 前回のメールニュースは「94号」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。非常時の折、どうぞ御容赦ください。

■宮城資料ネット・ニュース94号(2011年3月15日)
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3月11日 東北・関東大震災
各地で未曾有の被害
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みなさま

         宮城資料ネット理事長 平川新

 3月11日午後2時46分、三陸沖を震源とする大地震が発生しました。この東北・関東大震災では、御承知のように未曾有の被害が出ております。被災地にいらっしゃる方々は、ご家族の皆様も含めご無事でしょうか。心より御見舞い申し上げます。

 宮城資料ネットでは、当日も事務局のある東北大学東北アジア研究センターにて古文書資料の撮影作業を行っておりました。激しく、長い揺れが続きました。事務局の部屋では重い中性紙封筒やコピー用紙の箱、プリンタが飛んでくるという危険な状況になりました。事務局スタッフと、当日作業に参加していた5名、センター教員・職員はすぐに屋外に避難しました。全員無事でしたが、エレベータ棟が激しく損壊し、5階建ての建物のうち、4階・5階も破損しました。事務局そのものが被災して室内は散乱し、使えなくなってしまっております。事務局からの
連絡が遅れましたのは、インターネット環境が破壊されてしまったからです。

 建物そのものは3月15日現在も立ち入り禁止ですが、3月12日より1日20分程度の時間限定で、少しずつ最低限の器材・データ等の搬出を行っています。いまも大きな余震が続いていますので危険な作業となっております。

 事務局スタッフ4名(平川、蝦名、天野、佐藤)も被災者となりましたが、目下のところ東北アジア研究センターの外で事務局体制の構築に努めているところです。関係者のご協力をいただき、3月15日時点で事務局スペースと、情報収集・発信のためのインターネット環境にようやくめどが立ちつつある状況です。

 この間、3月14日には宮城県の文化財保護課と保全活動の打ち合わせをおこない、協同で対応するという方針で合意しました。一方、今回甚大な被害を受けた沿岸部には当分近づかない方がいい、という助言をいただきました。また震度7を記録した栗原市など内陸部へも交通が寸断されています。さらにはガソリンが枯渇する状況で、車輌での移動が制限されており、十分な活動が展開できないる状況にあります。

 また3月15日には、仙台市博物館・市史編さん室と、仙台市教育委員会文化財保護課に、今後協同して保全活動を実施したい旨をお願い、合意いたしました。具体的な対応に移るにはまだ時間がかかりそうですが、活動のための枠組み作りを着実に進めております。
 
 これまでの活動でお世話になった所蔵者の方・地域の方・行政の方も被災の安否確認は出来ておらず、非常に憂慮されます。

 関連して、皆様にお願いいたします。

■ネットニュース配信者の皆様
 各地の被災状況など、ご存じの情報があれば、どんな小さなことでも結構ですので、事務局まで御連絡いただければ幸いです。

■NPO会員の皆様
 このメールをご覧になることが出来た方は、折り返し安否の御連絡をよろしくお願い申し上げます。また、今後の連絡のため、差し支えのない方は携帯電話の番号およびメールアドレスを御連絡いただければ幸いです。目下の所、携帯電話のメール・ショートメール(同一電話会社間のみ)が、比較的つながりやすいようです。なお、事務局メンバーの携帯電話番号・メールアドレスは下記の通りです。事務局メールあるいは下記メール宛にご連絡ください。

 平川 090-4316-2734(ドコモ) ahi-392-2734@docomo.ne.jp
 佐藤 090-2997-4264(au) dsato117-theprospector@ezweb.ne.jp
 蝦名 080-3320-4584(ソフトバンク) evinu01@h.vodafone.ne.jp
 天野 090-2886-8527(au) hmd2764-cj215@ezweb.ne.jp

 皆様におかれましても、ご自身の安全確保が最優先です。一方、状況が落ち着いた段階で、本格的な歴史資料保全活動に移行できるよう、事務局で全力を尽くして準備を進めております。被害地域の広さ、被害対象の多さから考えても、今後あらゆる面で皆様のお力添えが不可欠です。ご支援と御協力の程、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 昨年、平川新氏の著書『伝説の中の神』(吉川弘文館)を読んだばかりである。重責を担われていることに粛然とする。

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