地震火山(9)ー理科年表の貞観年間地震記事
いま、東京大学地震研究所での月例談話会に参加して、帰宅途中。総武線の中。ひさしぶりで総武線にすわれた。
『かぐや姫と王権神話』で火山のことを書いた時、教示をうけた地震研の知人から月例談話会で「貞観地震」のテーマがでているという連絡をうけて参加。彼は新燃岳の方で、二正面作戦でたいへんとのこと。
この談話会のことは、明日、報告する。地震研の研究者が必死でやっている様子がよくわかった。
理科年表の貞観年間の地震3件についての記述は以下の通り。問題の陸奥大地震は地震番号20,マグニチュード8.3とされている。このマグニチュードは、もちろん、推定。
18 863 7 10 (貞観5 6 17)
越中・越後:山崩れ、谷埋まり、水湧き、民家倒壊し、圧死多数。直江津付近にあった数個の小島が潰滅したという。
19 868 8 3 (貞観10 7 8) 34.8°N 134.8°E M≧7.0
播磨・山城:播磨諸郡の官舎・諸定額寺の堂塔ことごとく頽れ倒れた。京都では垣屋に崩れたものがあった。山崎断層の活動によるものか?
20 869 7 13(貞観11 5 26) M8.3
三陸沿岸:城郭・倉庫・門櫓・垣壁など崩れ落ち倒潰するもの無数。津波が多賀城下を襲い、溺死約1千。流光昼のごとく隠映すという。三陸沖の巨大地震とみられる。
これは基本的に宇佐美龍夫東京大学地震研究所名誉教授の『新編日本被害地震総覧』によったもの。宇佐美先生の同書の貞観地震の記載についても、週末に入力し、掲載する予定。ちょうど、娘が大学の休みでいるので、バイトで入力を御願いしている。どうもありがとう。 この理科年表は、昨日(3月17日)、帰宅途中、東京駅の丸善で一冊買ってきたもの。経済産業省から夕方以降の暖房のための電気利用量が増加した場合に、突然停電があるかもしれない、帰宅を急いで欲しいという声明で急ぎ帰宅する途中に寄った。 昨日、理科年表を買った後にホームに行った東京駅の混雑はすさまじかった。早く帰宅をするように放送した官庁・企業も多かったようで、丸善によったためもあって、私は、ちょうど最大のピークにぶつかり、長く電車に乗れなかった。東京駅ホームは極度に混雑、ホーム白線の内側を歩いていて、身体が揺れた、ちょうどその時、線路よりのところを急いで通り抜けようとした私より年の男性と接触して、その男性がふらっとして、線路に落ちるのではないかとびっくりした。帰宅は20時ほどだったか。
理科年表をみていると、実に便利にできていておもしろい。私がもっていた『理科年表』はたしか黄緑色のもの。先日から探しているが、本棚がたおれたこともあってでてこない。そこで、仕方なく新しいものを購入することにしたが、地震関係の記事は、研究の進展があって相当書き換えられているので、購入しても損はない。
『理科年表』を作るという発想が、どのようにでてきたのかは知らないが、いわゆる「自然史」レヴェルでの常識を、こういうコンパクトな形でまとめるというのは、科学常識を社会に提供するという意味で重要なものと思う。
歴史学の側でも、こういう「年表」ができないものかと思う。『理科年表』の厚さがあれば、そうとうの情報が載せられるはずである。細かなことを載せることを考えればきりがないが、しかし、常識として必要なことは、『理科年表』の厚さがあれば、相当入るかもしれない。
とはいえ、歴史学が常識として必要なことは何か、どういう点がたりないかを十分に意識し、研究を集中し、研究を計画しているかといえば、まったく違うので、これはしばらくは夢物語である。
少し、仕事の活動力を落として、ゆっくりし、被災地のことを考えた省エネルギーの生活をするようにしてはどうかと思う。若い人は、条件が整った段階で、救援と労働に行き、老人は、できる家庭は被災地の人々をうけいれる準備をするというような処置がすみやかに取れればよいと思う。
今日、みたテレビの枝野官房長官の会見で、彼が復興支援についてどう考えるかと聞かれた時に、現在は復興支援を考えるのではなく、まず、被災者支援を考える段階だと明瞭に言い返したのに感心。
当然のことではあるが、阪神大震災の時の政治家の発言が「復興」一辺倒に近かったのとは大きな違い。そういう筋を正確に通した発言は、これまでの政治家から聞くことはあまりないから、感じがよかった。原発事故の時の最初の会見は、見ていて心配な感じがあった。なにしろ15時30分の爆発を3時間以上、発表しないという時であった。「どういうことだ」と思ったが、民主党の政治家も成長するのかもしれないと考える。成長して欲しいものだ。
民主党の原発政策はとても了解できるものではない。マイナスからの成長だから、記者会見が変になるのは当然である。それは自民党と変わりない。それは原発一般の問題である前に、専門家のいうことを聞かず、「軽水炉」「プルサーマル」という20年以上前から専門家が批判しており、世界中で「危険・旧式」とされた軽水炉政策を維持するという異様な政策がよいかどうかという問題である。とくにプルサーマルは、世界では基本的に採用されておらず、独特な危険性をもっているとされている。それを維持しようという政策一つをとっても、普通の研究者として支持できるものではない。その他、根本的な問題をもっている政党であり、全体として支持しがたい。
しかし、こういう時に、政治家個々人が成長し、頑張って欲しいと思うのは当然のことである。娘によると、ツイッターの世界では「枝野が眠れるように、首相は頑張れ」というのが、一時、もっぱらだったとか。首相も頑張って欲しい。人命優先、被災地支援優先である。
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