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2011年4月15日 (金)

地震火山24貞観地震は1000年に一度か?

 東京新聞から「地震・津波・噴火」を理解するため読書欄の連載を頼まれて、津波の本の紹介に困った。まとまった本がない。もちろん、地震学サイドでは都司嘉宣氏の一連の仕事、そして歴史学では矢田俊文氏の『中世の巨大地震』が大きな貢献をしている。しかし、『津波』を銘打った本がない。

 困って「古代中世地震噴火データベース」(石橋科研)で津波を引いてみたら、享徳三年(一四五四)の奥州津波のデータがあることを知った。データベースは次のようなもの。

事象番号:14541221  種別:地震
享徳3年11月23日/1454年12月12日(J)/1454年12月21日(G)
(B)〔王代記〕○山梨県史 資料編六
《十一月》{(享徳三年)}廿三、夜半ニ天地震動、奥州ニ津波入テ、山ノ奥百里入テ、カヘリニ人多取ル、
(B)〔会津旧事雑考〕○会津資料叢書 下巻
《三年》{(享徳)}(甲 | 戌)
十一月廿三日夜大地震、

 これは産総研の土壌調査によると、室町時代くらいに、陸奥国の大津波が起きたという結果に照応する記事かもしれない。
 このデータはデータベースの基礎となった『大日本地震史料』には載っていないから、石橋克彦科研に参加した歴史関係グループの貢献、つまり矢田などの貢献であろう。そしてそのもとは『山梨県史 史料編六』の貢献であることはいうまでまでもない。貞観津波論にとっても決定的に重要のように思う。
 県史の解説にあるように、この史料、「王代記」は一五二四年(大永四)頃には成立していたもので、史料として十分に信憑性があるといってよい。「奥州ニ津波入テ、山ノ奥百里入テ、カヘリニ、人多取ル」というのは、一〇〇里というのは文字通りに理解はできないが、今回の津波でも、津波の水流は50キロさかのぼったというから荒唐無稽ともいえない。
 なお、約半月後に、十二月十日に、鎌倉でこの津波の余震があったことが『鎌倉大日記』に「大地震」と記録されており、この地震の規模を知ることができる。
 さらに興味深いのは、「古代中世地震噴火データベース」のもとである『大日本地震史料』には、『朝鮮王朝実録』からの引用もあることで、それによると「端宗王二年十二月甲辰」(西暦に直すと)一四五五年一月二四日に、朝鮮の慶尚道、全羅道などで大地震があって圧死したものが多いとうことである。奥州津波は西暦に直すと十二月二一日であるから、朝鮮での地震は約一月後ということになる。これはあるいは、日本の東国での地震の連動を示すものではないだろうか。もし、そうだとすると、これも地震の規模の大きさをものがたるものではないかということになる
 『大日本地震史料』の記載は、それ以外にも興味深い点が多いが、いずれにせよ、貞観地震の後、約六〇〇年後にも陸奥国の大規模な地震・津波があったということは、これで地震学による津波痕跡の調査と文献の双方から示すことができるということになる。そして、これはだいたい600年周期で今回の東日本太平洋岸地震にあたる地震が発生するという傾向を示すものということになるのかもしれない。
 今回の東日本太平洋岸の地震と津波が「想定外」であったという意見の中で、1000年に一度の天災は予想できないという言い方がされることがある。それは第一に、地震学が、阪神大震災以降、日本の大地が動乱の時代に入ったと宣言していたことを考慮にいれないという点、そして一〇〇〇年に一度ということは学界の側ではいってはいないということを無視しているように思う。
 それにしても、もう少しのところであったという地震学の研究者の無念はいかばかりかと思う。たくさんの人々がなくなったのだ。今日の朝日の夕刊によると、アメリカ地震学会でも「巨大地震が活動期に入った」という報告があったということである。大地というものをどう見つめていくかという問題が、二一世紀にはっきりと課題となったということだと思う。温暖化ということのみではすまないということだ。

 火山噴火の増大、そして何よりも心配なのは、原発の排水による海水の継続的な温度上昇の総合的な影響、温暖化の問題をそれをあわせて考えなければならないとしたら、と、素人ながら考える。


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