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2011年5月25日 (水)

地震火山30火山噴火の本の紹介。東京新聞

以下は、東京新聞にのせた火山噴火についての本の紹介。

 著名な日本文学研究者、益田勝実の机には、一九五二年に噴火した伊豆の海底火山、明神礁から噴出した軽石がおいてあった。その著『火山列島の思想』(筑摩書房)は、意表をつく題名であるが、私たちは、たしかにそのような思想をもたねばならないのではないか。
 この列島に棲むものは、日本の火山活動が活発であった紀元前後の時代に「マグマが教えた思想」を心のどこかに覚えている。日本の神は火山の神である。折口信夫のいう「忌み」の思想、「神道」の思想の実体は、そこにあったというのが益田の主張である。私は、昨年、益田に導かれて火山神について考え、『かぐや姫と王権神話』(洋泉社新書)を執筆したが、その中で、これこそが網野善彦が強調した「大地と海原」の実体であることを確知した。
 益田の仕事は、文化の問題として地震・津波・噴火を受けとめるために必須のものである。もし幸運に「原発」を抑え込むことができれば、今後、日本社会は、この問題をめぐって内省を深めざるをえないはずである。
 そのために有益な本として、永原慶二『富士山宝永大爆発』(集英社新書)と小山真人『富士山大爆発が迫っている』(技術評論社)の二冊を推薦しておきたい。永原は、歴史学の立場から、宝永四年(一七〇七)の富士の大噴火と膨大な積砂による荒廃、そして河床の上昇による大洪水という二次災害を描いて間然するところかがない。その復興には実に七十年以上もかかったという。後者の小山の著書は富士の噴火の歴史と富士の噴火の構造について火山学の側からの説明である。宝永噴火と貞観六年(八六四)の噴火の比較が面白い。小山は富士山の噴火のハザードマップを作成した人だが、逆に日本の国土は火山なしには盆地・平野なしの貧困なものとなったろうと火山の恩恵を強調しているのが興味深い。一つつけ加えておけば、日本における黄金の産出は火山列島という地質条件によるところが多いという。なお、「地震・噴火史料データベース」が、小山が教授をつとめる静岡大学防災センターから公開されていることも付言しておきたい。

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