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2011年12月12日 (月)

地震噴火51テレビNHKETV特集、地震学者の警告

 今、総武線の朝。昨日の夜は10時からETV特集「大震災発掘、埋もれた警告」をみて疲れて寝る。こんなに長い時間テレビをみるということは久しくなかった。
 NHKの人から歴史地震関係の取材をうけていたが、それは番組にいれられなかったという連絡があって番組の存在を知る。しかし、地震学関係の「警告」を関係の研究者が登場して証言する、番組の迫力は相当のもの。歴史学の本質は、一歩、引いて見るというところにあるので、このような即物的迫力をもった証言はできない。
 私には、「変動地形学」の解説が勉強になった。活断層研究はリニアメントを追跡する経験的方法でやるのだというのが『日本の活断層』などを読んで知ったこと。しかし、地形変動の諸類型を想定し、地形変化の動態歴史を追求する「変動地形学」というものがあるという。これは歴史学と深く直接に関わってくるように思う。昔の人々はそういう地形をみる能力をもっていたということをどうにか復元できないか。
 地震学からは会ったことのある人、論文を読んだことのある人がみなさんきつい顔で発言されていた。そういう(客観的な)ネットワークがあることを、この間の経験で少し知るようになり、その端に自分を位置づけるようになったというのは、私にとって今年の珍しく明るい経験であった。
 学術分野からみていると、国の防災対策、地震対策、原発立地対策がどうみえているのかということが、見ている人には伝わったと思う。でてきた人のほとんどは、「名誉教授」であるが、後を受けている研究者も多い。
 「貞観津波」の最初の発掘をした東北大学の箕浦幸二氏が最初にでてきて、今回の津波によって土地が削られ、仙台平野の各所で「貞観津波」の残した砂層が露出していることを確認している場面が印象的であった。箕浦先生の研究は二五年前。しかし、研究としては決定的なもの。その発表の後に、地上げ関係者からの妨害があったというのに驚く。二五年前というと、私は中世遺跡の保存運動などでギリギリの時。あの時期にもう一つやるべきことがあったということになる。
 それにしても原発開発者のやっていることは、学者から見ると、ようするに地上げ関係者、「その筋」と同じことであるというのが番組全体をみて重くせまってきたこと。活断層を8キロと値切って建設費用を安く上げ、10年後には研究の進展といって20キロと認め、それでも安全と強弁するという神経は、個人の普通の人間関係ではありえないものである。一流企業のやることでもないだろう。
 そういう原因者・開発者に調査させて、それを審議しろといわれても困るというのが、東大理学部の池田さんが最後にいっていたこと、それは裁判をするのに、被告のみの提出した書類のみにもとづいて審理をするのと同じことだとおっしゃっていた。こういう普通の正論が普通の正論として通る社会になるということで日本社会のもつ問題の相当は片づいていくはずである。それは理想社会を夢見るという話ではない。社会の変化、発展といっても、それは根っこにいけば実は単純な話なのである。
 この番組は、原発開発者や、その危険性を容認した官僚や「学者」にとっては社会的な名誉に関わってくる話であろう。その中枢は丸山のいう「無責任構造」であるが、しかし、そうだからこそ、個人責任を明瞭にしなければならないというのも明瞭な話である。そして、それを考える場合は、その社会の名誉構造がどうなっているかが大事だと思う。
 日本現代は、社会的な名誉というものが、実際上、非常に軽くなってきてしまった社会である。「コケンにかかわる」という諺があるが、これは本来は「沽券に関わる」という意味である。「沽券」=「売買契約書」。売買や契約に関わって不正義があった場合は、社会的栄誉を否定されてもかまわないというのが、その本来の意味である。つまりそれは社会における信義誠実の原則のことをいう。一部特権企業のやり方が押し通ってきたということは、ようするに、現代が、そういう栄誉の体系というのが失われた社会であることを意味している。栄誉はどうでも収入さえあればよいという「その筋」の社会と同じでないことを願う。
 話しが例によって流れたが、私のような保守的社会主義者、つまり社会的価値と伝統を大事にするということを社会観の基礎にすえることを望むものにとっては考えることが多い。

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