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2011年12月17日 (土)

地震噴火52『日本人はどんな大地震を経験してきたのか』。

 寒川旭さんの著書『日本人はどんな大地震を経験してきたのか』の新聞書評(東京新聞)を書いた。勉強になった。寒川さんが全国を歩いて、いわば足で書いているのをよんでかなわないと思うし、うらやましい。書斎派歴史学に問題が多いことは自覚しているつもりだが、今から取り戻すのはなかなか難しい。

 地震の時にふきでる墳砂はよく知られるようになった。ただ、本書で生々しい写真や、弥生の遺跡をつらぬいた墳砂の上に地霊を祭った跡があるという説明を読むと、強大な自然の力に驚く人間は、昔も今も違わないという感を強くする。
 本書は、紀元前後からこの列島の各地で発生した地震のすべてをわかりやすく解説している。著者は地震学者で、同時に地震考古学という学問分野の創始者であるが、その目からすると、大地は柔構造で動くものにみえるらしい。それほど沢山の全国各地の地震の記録が紹介されている。
 脱帽するのは、地震の政治への影響についての指摘である。たとえば八世紀の大和河内地震が聖武天皇の遷都にどう影響したか、菅原道真を日本で最初の地震学者とした背景は何か、桃山時代が、日本史上、列島最大の地震活動期であったことが戦国時代の終末にどう影響したか、徳川綱吉の場合はどうか、そして江戸時代のお家騒動への地震の影響などなど。
 東日本太平洋岸地震の原型とされる八六九年の陸奥沖海溝地震の直後に、京都で祇園祭が始まったのは偶然でないとしているのも卓見で、私見では、これは前年の播磨地震で地震とともに播磨広峰のスサノオ神=牛頭天王が京都にやって来たと考えられたことに関わるらしい。スサノオは海の神だが、ギリシャ神話のポセイドンと同じように地震の神でもあったからである。
 歴史家としては、著者の指摘をうけ、問題をさらに細かく追求し、歴史文化や歴史教育の内容を変えていく責任があると思う。地震・津波は日本の自然の最大の特徴であり、それに対する知識がゆたかで生き生きしたものになりうるかどうか。子供たちに、ただの警戒心ではなく、郷土と人々への共感をはぐくむ歴史意識を提供できるかどうか。無主・無縁の自然の奥底までをみる力を提供できるかどうか。歴史学にとっても正念場である。

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