BLOGOS

著書

twitter

講演・取材依頼

  • アドレスmihotateあっとまーくkk.alumni.u-tokyo.ac.jp

公開・ダウンロード可能論文

2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
無料ブログはココログ

« 地震火山65地震学の方々と | トップページ | 小選挙区制と身分意識 »

2012年5月30日 (水)

歴史学研究会大会出席の電車で益田さんを読む

 26,27.土日は歴史学研究会。会場は府中の東京外国語大学。
 土曜日午前中、総会にでようと思ったが、やや遅くなってしまい、周辺を歩いた。私はすぐ側の国際キリスト教大学の出身なので、さすがになつかしく、「永遠の今」という感じである。しかし、「永遠の今」という「生の哲学」の決めフレーズは、年をとってくると、「生」の生き生きした時の流れよりも、重荷の変わりなさを表現するような言葉であるように感じる。同じような間違いと同じような人格をもって経過してきた「時間」なるものの感覚である。とくに一種の頭脳労働をやっていると、自分の中で時が過ぎ去らない、未処理物が堆積していることの内覚であるようにさえ感じる。
120526_115336  多磨墓地周辺から野川公園まで歩き、大学の裏門まででてしまった。野川の橋にはキチンとした記憶が残っていないが、その先の、先輩・友人のたまり場となっていた下宿は、たたずまいが残っていた。そここに友人がいるような感じさえする。馬鹿なことをつぶやくようだが、内覚が同じであるのは悪いことばかりではない。
 歴史学研究会編で『震災・核災害の時代と歴史学』がでて会場で販売されている。私も書いているが、矢田俊文氏の論文が、歴史地震の研究は歴史的景観、歴史地形の復元のために必須であることを強調しているのに強い印象をもつ。国土をよく知るということが歴史学の基礎ということはわかりきったことだが、「書斎派」で、そういう経験を積み上げてこなかった私には耳がいたい。矢田さんは津波による海岸地形の変化を早くから追求しているだけに説得性がある。たしかに歴史地震の研究は、地形の変遷の研究や気候学との連携をふくめるときわめて重要になってくる。
 行きの電車で益田勝実氏の『国語教育論集成』(筑摩文庫益田勝実の仕事5)を読む。6月に国語の先生方を前に講演をすることになっており、以前から読み通す予定であったものを、ともかくもすべて読み通す積もりで読んでいる。
 この『国語教育論集成』は益田さんが何を考え、実践者として、どこを重点として生きてきたかを知るためにも必須の本である。これは、この文庫が編まれるまではなかなか見ることのできなかった文章であるから、この文庫の意味はきわめて大きいと思う。編者は(元)法政二高の幸田国広氏。歴研で、やはり(元)同高校の長坂伝八氏に久しぶりにあって、感動したと伝える。
 第一の収穫は、益田さんの柳田国男の読みの深さを再認識したこと。右にふれた矢田氏の発言との関係で、益田さんが引用している柳田国男の『雪国の春』に収められた「草木と海と」という文章の一節を引用しておきたい。

 「歴史以後にも日本の海岸は大変な変化をした。土が流れて磯を埋めた区域が、落込んだ部分(埋め立て)よりはずっと広かったかと思ふ。浪速から中国へかけての新田には中世まで白帆の船の走っていたところが多い。大小の島々は堤に繋がれて陸地となり、その陰をいまは汽車が往来している。しかしこれと同時に砂浜の威力も段々に怖ろしくなった。風は昔も強く吹いたのだが、吹きよせて積み上げる砂小石は、近代に入って益々増加した」。

 益田さんは、柳田の「経世済民」の志向に全面的に賛同している。それはやはりその通りなのかもしれないと思う。私も歴史学の研究者として「保守主義」ということを考える上で、柳田の位置が大きいことがよくわかる。

 歴史学研究会の全体会では、渡辺治氏が、「九条の会」への「保守」の人々の参加の意味がどこにあるのかを論じた。大江健三郎さんなどがいわゆる新自由主義による社会の破壊に対して、抵抗する動きをするのは当然であるが、新自由主義が保守の人々に強い危機感をあたえている状況は、身に迫っていくる問題である。興味深く聞いた。アラブ史の長沢さんの報告にも感銘。できれば時間をとってメモを残したい。
 それにしても「新自由主義」という言葉はどうにかならないものかと思う。アメリカのイラク・アフガン攻撃を主唱したネオリベラルの翻訳語なのであるが、これは彼らの自称であって客観的な規定ではない。
 

« 地震火山65地震学の方々と | トップページ | 小選挙区制と身分意識 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事