日本型変形漢文の史料を読むのに最低必要な知識。
先日のゼミでも話した。
この頃、漢文を中学校でやることは少ないと思うので、授業のときは、かならずこれを配ることにしている。ずっと以前のワープロ(文豪というヤツ)で作ったもので、テキストがなかったので、入れ直してもらった。古文書を読む会などでは、もっとよいものを作ってあると思う。京都の総合資料館のものをみせてもらったことがある。
漢文は小学校のときにやったらよいと思う。論語をやるのはよいことだ。ついでに老子・荘子もやればよいと思う。小学校教育で東アジア的文章と倫理を教えるのは必要なことだと思う。そして習字も。
これがないと日本人は無教養になる。そして歴史家の後継者が育っていかない。
日本型変形漢文の史料を読むのに最低必要な知識。
1返り点
レ
一、二、三、
上、中、下、
2「ヲ、ニ、ト」と送り仮名がついてかえる。
「鬼と」会ったら返れ。ヲ、ニ、ト、の助詞をとって返る場合が最も多い。
ヲ…………
ニ…………ただし、副詞の語尾のニからは、かえらない。
ト…………謂、為、称、号、などにかえる。
置き字としての於、于、
於、于、は、英語の前置詞に近いもので、普通読まず、その下の字に「ニ」あるいは「ヲ、ヨリ」と送り仮名をつけて、「於」の上の字に返る。
3返読することの多い特殊文字…………活用に注意。
不 ず、
可 べし、
被 らる、
以上は、助動詞
有 あり、
無 なし、
難 がたし、
如 ごとし、
以上は、不完全形容詞
4再読文字
漢文には、一字を意味のうえから前後二度に分けて読む漢字がある。
未 いまだ…………ず、
宣 よろしく…………べし、
応 まさに…………べし、
将 まさに…………とす、
須 すべからく…………べし、
令 (……をして)…………しむ、(古文書では「……をして」は読まずただの助動詞として使う場合が多い)
5様々に読む文字
者 1、もの、2、は(者を崩すと変体仮名の「は」となる)
3、てえり、てえれば(2から転じて引用符の意味となった。後者は同時に接続詞の意味あり)
為 1、なす、2、たる、3、ために、4、…………として(3から転じて主格を現わす助詞)
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