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2015年3月12日 (木)

 外務省は沖縄駐留米軍の意向を取り次ぐべきではない(辺野古サンゴ礁調査)

 外務省は沖縄駐留米軍の意向を取り次ぐべきではない(辺野古サンゴ礁調査)

 本日(3月12日付け)早朝の沖縄タイムスおよび琉球新報の電子版によると、辺野古のサンゴ破壊の調査のために沖縄県が米軍に通告した、「臨時制限区域」への立ち入り調査を米軍が拒否したということである。しかも外務省が、それをそのまま「取り次いだ」という(東京新聞朝刊も同様)。


 現在行われている防衛局の海底作業が、昨年8月に県が許可した岩礁破砕の範囲を逸脱していないかどうかを検証する必要があるという県の見解は当然のことである。「制限区域」外の部分において許可条項以上の行為が行われているということを、県が行政行為として確認した以上、一連の工事について点検するというのは合理的な処置であり、むしろ行政の義務である。

 何事かを許可した機関が、合理的な必要がある場合に、許可した条項の実施が妥当かどうかを調査することは、許可権限のうちに入る。こういう米軍の主張は了解しがたい。外務省はこのような米軍の主張の通告を拒否し、沖縄県の主張にそって調査を行うと解答するのが当然であろう。これでは外務省は日本国の外務省ではなく、米軍の出先取り次ぎ機関である。

 外務省の公務員は公務員であって、少なくとも、その生計の一部は沖縄県民の税負担によって供給されている存在である。その県の自治体が当然の行動をするのに対して、外国軍の意思を取り次ぐというのは一般的には背任行為である。そのような疑問をもたないのは、自己の有する権限についての錯覚というものである。常識的な職業倫理をもっている人間とは考えられない。

 日本国家は、沖縄県と事を構えようとしている。

 沖縄県が、選挙結果にしたがって慎重にひとつひとつ、きわめて漸進的な姿勢で慎重にものごとを進めている。それに対して、内閣が沖縄県を批判し、不快感を表明し、無視する。そして米軍の意思を県に伝達する。適法的に行動する自治体に対して勝手に外国軍に抗議せよ、外国軍と交渉せよ、政府は知らないというのである。

 このような行動をする内閣は、普通の現代国家では考えられない行為である。それに従う公務員は公務員の倫理に反している。自分はそういうことはできないということが何故言えないか。それで馘首されるということではない。それができないのはきわめておかしい。

 先日、政府と沖縄県の全面対立というような異常な事態は望ましくないと書いたが、このままではさらに米軍+政府と沖縄県の対立ということになっていく。そのように極端に不利益な立場に沖縄県が立たされるというのは、この国の国家のあり方が「行政と行政の対立」という目に見える形で問われることになる。そのような異常な事態が自分の棲む列島で起きることをのぞまない。

 望まないといっても、どうしてもそうなっていきそうな様相である。沖縄の方からは、いまさら何をいうかということであろうが、これは改めて根本から考えざるをえない。

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