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« 民主党の辺野古声明、一体どういうことなのでしょう。 | トップページ | 政治は「聞く」ことであろう。翁長沖縄県知事と菅官房長官の会談 »

2015年4月 2日 (木)

「辺野古米軍基地建設に向けた埋立工事の即時中止を要請する!」

 私も、大江健三郎・和田春樹氏らの下記の緊急声明に賛同しました。こういう声明がネットワークによってすぐ広がること、そういう意味では、一人一人の意見がすぐに広がることが可能になったのはめざましいことであると思う。自分たちで自分たちの意見をまとめて出す。それは逆にいうと、それは一人一人の意見と立場というものが問われるということであろう。

 たとえば、中国の現在の体制では、こういうことはできない。こういうようにネットワークで声明が出るということが世界で通常なことであるとはいえない。他方で、しかし、こういう形で意見を表明する機会が増えるというのは、日本の現状のマスコミと世論のあり方が機能不全に陥っているということの表現であるようにも思う。

 ただ、私は、次の部分の表現には、若干、引っかかった。つまり「このまま強引に工事を進めれば、沖縄県民との深刻な衝突や将来にわたる本土への不信の醸成が懸念されるだけでなく、日本という国に対する、内外からの信用が地に堕ちることになるでしょう」という部分である。

 それはその通りであるだろう。しかし、何といってよいか。
 
 「沖縄県民との深刻な衝突や将来にわたる本土への不信の醸成が懸念されるだけでなく」という部分であるが、「深刻な衝突や不信」というものは、実は前からあったということを十分に表現していないのではないか、ということである。それがあるということが誰にも見えるようになった。ということだと思う。すでに、そういうところにいたという認識を共有して考えていこうということであるはずだが、こういう言い方はやや切り口上のように思う。

 「日本という国に対する、内外からの信用が地に堕ちる」というのも、同じことで、そういうものがどこまで本当にあったのか。もちろん、現在、「日本という国に対する信用」というものが存在し、現在もあるということは、事実である。しかし、その存在の仕方の危うさというものもあって、くこういう言い方もやや切り口上であると感じてしまう。

 歴史家にとっては、「深刻な衝突や不信」「日本という国に対する信用」というものが、どう存在するか、どう作られているのかということを考えるのは、過去という観点から物事をみる仕事に関わってくる。

 もちろん、こういう声明が事態の変化に応じて、ネットワークを利用して、すぐに発せられること。しかも、こういうように一人一人がどう感じているかということを書くということができるというのは、めざましいことである。ともかく、ナイーヴな言い方をすれば、こういう声明は「みんなで考えよう」ということなのだから。

 希望をみるには、過去を知ることが必要ということを感じる。少しでも、沖縄の人びとにとって、そして現在の状況のなかに希望というものがほしいと思う。

 

             <緊急声明>

「辺野古米軍基地建設に向けた埋立工事の即時中止を要請する!」

私たちは、沖縄での辺野古米軍基地建設をめぐる問題に、重大な関心を寄せてきました。沖縄県民の意思は、もはや明確です。昨年2014年1月の名護市長選挙では、同米軍基地建設反対を公約する稲嶺進氏が再選、11月の県知事選では、同じく建設反対を明言する翁長雄志氏が、10万票もの大差で、現職の仲井真弘多氏を破り、12月に行われた総選挙では、小選挙区すべてで建設反対候補が勝利しました。思想・信条を超え、また政治的・党派的違いを超えた「オール沖縄」で、辺野古米軍基地建設には、「NO」という県民の強い意思が示されたのです。

にもかかわらず、安倍政権は、仲井真前知事が2013年暮れ、公約を翻して行った公有水面埋め立て承認を盾に、強引に埋め立て工事を進めています。こうした政府の行為は、沖縄県民の意思を侮辱し、日本の民主主義と地方自治の根幹を破壊する暴挙です。

新知事は、「普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認手続に関する第三者委員会」(以下「第三者委員会」)を設置することを決め、仲井真弘多前知事が行った公有水面埋立承認手続に法律的な瑕疵がなかったかどうか、検証を始めました。つまり、埋立承認、あるいはその根拠となった環境アセスメントの正統性が崩れる可能性があるということにほかなりません。まともな民主主義国の政府であれば、少なくともこの検証期間中、埋立工事を中断するのが当然です。

翁長県知事は3月23日、新たな決断を下しました。ボーリング調査を含むすべての作業を停止するよう、沖縄防衛局に指示したのです。この指示に従わない場合、辺野古沿岸の岩礁破砕許可を取り消すことを視野に入れたものです。

このまま強引に工事を進めれば、沖縄県民との深刻な衝突や将来にわたる本土への不信の醸成が懸念されるだけでなく、日本という国に対する、内外からの信用が地に堕ちることになるでしょう。

私たちは、翁長新知事の基地移設拒否の立場を支持し、今回の知事の作業中止指示と岩礁破砕許可取り消しについても、全面的な支持を表明するものです。私たちは、次の諸点について強く要請します。

日本政府は、海底ボーリング調査を含む、辺野古埋立にかかわるすべての行為をただちに中断すべきである。政府が埋立の根拠とする仲井真前知事の「埋立承認」は、すでに沖縄県民によって拒否されている。
この間、日本政府は、沖縄の総意を代表する翁長新知事との面会さえ拒絶しているが、これは、日本国憲法が保障している地方自治と民主主義の精神を否定するものである。民意の尊重が、民主主義の原点である。日本政府は、翁長新知事による面会要請を誠実に受け入れ、本件に関する真摯な協議に応じるべきだ。
日本政府には、自ら掲げる「地方創生」のスローガンを実践し、沖縄県に基地問題解決と自立経済建設についての実権を移譲するよう、要請する。
環境大臣には、今回の辺野古米軍基地建設に向けての埋立事業に関する環境影響評価書(辺野古アセス評価書)の内容に対して、環境保全上の見地から適切な意見を述べるべき責任がある。とくに辺野古地域・沿岸地域は、沖縄島の環境保全指針で「自然環境の厳正なる保護を図る区域」(ランクⅠ)とされ、ジュゴンをはじめ絶滅の恐れがある多様な生物種が生息する貴重な海域である。今回の埋立工事等による自然形状の人為的な変更や破壊によって不可逆的で取り返しのつかない絶対的損失がもたらされる恐れがきわめて高い。環境大臣には、世界遺産の候補にもなっている誇るべき沖縄の美しい海域を保全する重大な責務を果たすよう、ここに強く要請する。
沖縄県民の辺野古新基地建設拒否の意思の背景には、日本全体の0・6%に過ぎない沖縄に、74%もの米軍基地が押し付けられている現状への不満、憤りがある。日本国民には、この構造的差別ともいえる現状を直視し、日本の安全保障の問題は、その負担も含めて、日本全体で考えていくべきことを要請する。

2015年4月1日

        浅岡美恵(弁護士)
淡路剛久(立教大学名誉教授)
        礒野弥生(東京経済大学教授)
        内橋克人(評論家)
        遠藤誠治(成蹊大学教授)
        大江健三郎(作家)  
        加茂利男(立命館大学教授)
         川瀬光義(京都府立大学教授)
         古関彰一(独協大学名誉教授)
        小森陽一(東京大学教授)
        斎藤純一(早稲田大学教授)
        高橋哲哉(東京大学教授)
        千葉 眞(国際基督教大学教授)
        寺西俊一(一橋大学特任教授)
        中野晃一(上智大学教授)
        西川 潤(早稲田大学名誉教授)
        西谷 修(立教大学教授)
        原科幸彦(東京工業大学名誉教授・千葉商大教授)
        前田哲男(評論家)
        間宮陽介(京都大学名誉教授)
        宮本憲一(大阪市大・滋賀大学名誉教授)                          
        和田春樹(東京大学名誉教授)

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