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2016年2月17日 (水)

アメリカは「世界の警察」でなくてよいのか+サンダースのツイート2月15日

 アメリカ政治では、最近、アメリカは「世界の警察policeman」であろうとは思わないという意見が民主・共和を問わず一般的である。わざわざ奇矯なことをいおうというのではないが、私は、アメリカが「世界の警察policeman」であろうとすること自身は、ある意味でやむをえないと思う。固定的な「右翼・左翼」図式だとおかしいかもしれない。しかし、アメリカが「世界の軍隊troop」であることはまずいが、それと「世界の警察policeman」は違うだろう。

 逆にいえば、湾岸戦争以来の「世界の軍隊troop」を称するごとき行動によって悪魔を呼び出しながら、「もうやめた」というのは、魔法使いの弟子が、自分で呼び出した魔術から逃げだそうとしているのに似ている。最近の「アメリカは世界の警察policemanでない」という論調にはそういう感じがある。

 このままいけば悲劇はさらに続き、無差別テロも拡大する。歴史的経過はどうあれ、無差別テロは人類に対する犯罪であることはいうまでもない。それは抑止せざるをえないし、テロリズムに対しては情け容赦のない対応が必要であることは明らかである。しかし、それは軍事力と戦争ではなく、犯罪である以上、基本的に国際的な警察力の強化によって対応することが原則となる。アメリカには、これまでの間違いを反省してもらって、警察機能とその国際的な協力の強化については十分な責任をとってもらうほかない。今になって「アメリカは世界の警察policemanでない」というのは無責任だ。サンダースには、そう主張してほしいと思う。

 たしかにサンダースはアメリカによる軍事的な先制攻撃はもちろん、アメリカの軍事力行使と軍事力の増強それ自体について一貫して反対してきた。しかしそういうサンダースだからこそ、上のようなことがいえるはずだ。
 
 サンダースのいうように、何よりも長期にわたる軍事拡大路線こそが、アメリカ経済を疲弊させ、一部の億万長者のみを肥え太らせ、主権者を貧困に追いやった原因である。その根本にはアイゼンハワーのいう「軍産複合体」の肥大化があったことはいうまでもない。それを一挙に拡大したのは研究開発経費を一挙に600億$に引き上げたレーガンのスターウォーズ計画(SDI)の誇大妄想に始まった(軍事費総額5661億$)。

 クリントンは、「軍産複合体」を「軍産『学』複合体」にまで拡張し、レーガンの残した莫大な財政負担赤字を情報技術(インターネット)の民間化などで軍事費を節約することによって切り抜けようとして、それに成功したが、結果的には「軍産複合体」の巨大な寡占体制を作り出し、軍事企業の発言力を強化する結果になった。

 それに全面的に乗っかって情報軍事態勢を太平洋から中東に拡大したのがブッシュであったことはいうまでもない。いわゆる「新しい戦争」であって、日本に関わっていえば、アメリカと日本をむすぶ太平洋の上空と海中には目に見えない情報システムによって織り上げられた巨大な複合的軍事マシーンができている。これはレーガンの誇大妄想を引き継いだものであって、現在の中東の状況をみれば明らかなように、アメリカと世界にとって巨大な間違いであった。現在の世界は、この「新しい戦争」によって生み出された混乱の時期にある。

 ブッシュはイェール大学をでているが、寄付枠で入った人物であり、イェール大学にいた友人は、「イェールにもお馬鹿はおるんやで」といっていた。怖いことだが、レーガンからブッシュという、どちらかというと見通しのない人物が「軍産複合体」の動きに乗って、巨大な問題を生みだしたのだと思う。

 ここから根本的に抜けていくためには、アメリカが世界中に維持している軍事的なプレゼンスをやめなければならない。現在、どれだけ空論のようにみえるとしても、その基本が軍事的機能を文字通り国連に移行することにあることは疑問がないだろう。国連を改革し、国連総会の位置を強化し、国際公務員の権威を高めるなかで、その軍事機能を厳密に多数の国々の支持がある場合に極限するとともに、その権威を高めるということになるが、この点でアメリカが「世界の軍隊troop」であることから引いていくことは決定的な意味がある。しかし、そのとき、「世界の警察policeman」をどう位置づけるか、そしてPKOなどをどう位置づけるのかというのは逃げ出せない問題であろうと思う。「負の遺産」はひきついでもらうほかない。

サンダースのツイート2月15日
We need legislation which makes it possible for workers who want to join a union to do so. We must pass the Employee Free Choice Act.
組合に入ろうという労働者にはそれがすぐできるように保証する法律がいる。我々は働くものの自由結社の法を議会で通さなければならない。【たしかに、労働組合法は働くものの自由結社ということだと思う。翻訳はいろいろなことを考えさせる】

Our guiding principle in terms of immigration reform must be to unite families, not divide them up.
移民システムの改革についての私たちの基本的な方針は、ようするに家族のユニティを守り、それを分解しないということにある。【たしかにすべての法が家族法の側面をもつのだろう】

We will not tolerate calls to send back unaccompanied children and victims of crime and domestic violence to the countries they have fled.
孤立した子どもや犯罪や家庭内暴力の犠牲者を、彼らが逃げ出してきた国に送り返せという要求は容認できない。【英語力もなく、前後の文脈もわからないので正確かどうか。けれども何となくわかる】

“We can either have democracy in this country or we can have great wealth concentrated in the hands of a few.” - Louis Brandeis
「この国を民主主義の国にするか、あるいは巨万の富が少数の手に集中された国にするか。我々の選択に委ねられている」-ルイス・ブランダイス
【ウィキによると、「ルイス・ブランダイス(1856- 1941)は、アメリカの法律家。労働法の古典学者、ハーバード大学ロー・スクール教授。合衆国最高裁判所判事。1916年、ウィルソン大統領によって、ユダヤ教徒最初の合衆国最高裁判所陪席判事に任命される。アメリカ労働法学の理論的基礎をなすような、多くの判決を下した。リベラルな立場からニュー・ディール(New Deal) の主な立法を合憲としたことが知られる。1939年退職。1941年に死去した。シオニストとして、イスラエルの地にユダヤ教徒国家を再建しようとする運動を支持した」という人物。こういう人がシオニストであったというのが戦間期の特徴なのか】。

最後に
栗田禎子『中東革命のゆくえ』(大月書店、2200円)の紹介。必読。
『アラブ諸国体制』というのは中東史の歴史家の板垣雄三氏の提起した概念だが、やっと僕にもわかるようになった。これは現在の世界を理解する上で決定的な意味をもっている。イスラエルーパレスティナ問題は、ヨーロッパ―アラブ関係の関連方程式なのだ。

「中東地域の支配構造が『アラブ諸国』とイスラエルとの分業・共犯関係によって成り立っているということは、とりも直さずアラブ諸国内部における変革・民主化がパレスティナ問題の解決に寄与することを意味している(102頁)。

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