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« サンダースの非暴力主義の喚起力。そして2月11日のツイート | トップページ | サンダース現象とアメリカ・日本関係。サンダースの2月13日のツイート »

2016年2月13日 (土)

サンダースで心配なのは国際政策+2月12日のツイート、

【B・サンダース】2月12日のツイート
In the 1950s large corporations contributed over 30% of federal tax revenue. Today it's less than 10 and they still ask for more tax breaks.
1950 年代に大企業は連邦政府の歳入に対して 30% 以上は貢献していた。今では 10㌫ 未満で、その上、もっと多くの税制優遇を求めている。

The American people understand that the federal minimum wage of $7.25 is a starvation wage. It is not a wage that anybody can live on.
アメリカの人びとは、7.25 ドルの連邦の最低賃金は飢餓レヴェルの賃金にすぎないことをよく分かっている。これは誰も生きていけない賃金だ。

The Koch brothers are spending hundreds of millions so they can have a Congress that works for the 1 percent. We can’t let that happen.
コッホ兄弟は、数百万$を費やして富んだ1% のために働く議会を作ろうとしている。そんなことを許すわけには行かない。

So proud that Vermont continues to be a national leader on solar energy. http://www.thesolarfoundation.
バーモント州がずっと太陽エネルギー導入のナショナルリーダーであることは本当に誇らしい。 https://twitter.com/SenSanders/staus/697839034610139138…


Must Read: Ex Treasury Secretary Tim Geithner is finally cashing in on Wall Street.
読んでおこう。(オバマの)前財務長官ティム ・ ガイトナー 、結局、ウォールストリートで大儲け。 https://twitter.com/SenSanders/staus/697833534778695681…

Victims of crime and domestic violence should not be afraid of being deported for calling the police.
犯罪の被害者が(もちろん家庭内暴力の被害者も)強圧的な処遇をおそれずに安心して警察に救援を求めることができるようにしないと。

NEWS: Sanders, Grijalva Demand Accountability for Immigration Enforcement Program
ニュース。サンダースとグリジャルヴァ(下院議員、アリゾナ)は連名で出入国管理の強化についての懸念を表明し、説明を要求した。

It is crazy that we have Republicans who not only will not raise the minimum wage, but want to do away with the concept of a minimum wage.
最低賃金の上昇を要求しないだけでなく、最低賃金という考え方それ自体をなしにしようという主張が共和党のなかにあるのはクレージーな話しだ。

【私見】サンダースで心配なのは国際政策
 アメリカ大統領選挙で未知数なのは外交政策についての議論がどう展開するかだろう。これは誰が候補者になるにせよ、民主党と共和党の争いに局面が移れば必然的に重大問題になる。

 サンダースの外交政策は基本的には良識的なものである。しかし、サンダースの議論は、彼のホームページをみると、どうしてもアメリカにとっての「War and Peace」という枠組みになっている。つまり、イラク・アフガニスタンという中東問題が中心になっている。これはアメリカがつねに戦争を行い続け、また現に戦争を遂行している国家である以上、やむをえないことであるが、逆にいえば、そこには戦争をも相対化するような平和のための世界戦略がないのである。

 これに対して、ケネディの時期のアメリカは、国家的にかかわる戦争はベトナムにおける局地戦を中心としており、いわゆる各個撃破戦略といわれるような時期のものであった。それ故に、ケネディは、実際には大きな批判をうけざるをえないような内実をもっていたとはいえ、平和のメッセージをふくむ世界戦略らしきものを提起し、第二次世界大戦の記憶が濃厚に存在していた当時のアメリカや世界において、それははそれなりの説得性をもっていたのである。しかし、現在のアメリカは中東を中心に世界中に巨大な軍事網を張っており、世界的な戦争センターとなっている。

 そこで平和の世界戦略を語ることは抽象論ではすまされない。これがサンダースにとってもっともきついことであろう。オバマは大統領選挙において核兵器廃絶の希望を語ったが、これは実行のともなわない「口ばっか」の人気取りであった。この手はもう使えない。

 とくにサンダースにとってきついことは、中東問題の基底に存在するイスラエル・パレスティナ問題であろう。サンダースはイスラエルの乱暴な軍事姿勢には明瞭に反対するという立場にたっている。この点でもサンダースの主張はアメリカ議会のなかで最左派であって、そのメッセージは明瞭である。しかし、イスラエルーパレスティナ問題の解決はきわめてむずかしい。

 サンダースは、解決の枠組みとしていわゆるイスラエル・パレスティナに「二つの民族国家を承認する」という路線、「二国家解決」の路線を提起している。これはそれとしては常識的なものではあるが、しかし、1993年のオスロ合意以降のパレスティナの地の状況はきわめて厳しいものがある。

 第一には、イスラエルの軍事体制強化、アパルトヘイトの強化、占領・入植の既成事実化であり、第二はアメリカの湾岸戦争以降に軍事介入と支配のツールとして宗教対立が徹底的にあおられ、それにアラブ社会がなかば覆われるにいたったという事実である(歴史学者の見方は、栗田禎子『中東革命のゆくえ』青木書店2014、を是非、御参照下さい)。
 この中では、「二国家解決」は、一面ではパレスティナ民族に半身不随のアパルトヘイト的な自治をおしつけるものとなりかねず、一面では、60~70年代のパレスティナ解放機構(PLO)が清算したアラブ宗派主義の再登場、さらにはイスラム原理主義国家の建設になりかねない構想となっている。これに対する対案として、エドワード・サイード(1935-2003)が晩年に必死に行動した「パレスティナの地に二民族共生国家を!」というバイナショナリズムの構想も、現在では一種の理想論としか受け止められないという情勢になっている。


 私は、ユダヤの出自をもつだけに、サンダースが、この問題で、右翼からも左翼からも厳しい批判を浴びる可能性があると思う。サンダースは、ユダヤ系の人びとの支持を集めるべき立場におり、それはパレスティナの人びとの支持をえることが一種の道義的責任であることも意味している。「二国家解決」は状況のなかでパレスティナの人びとの批判をあびるだろう。それはアフリカ系アメリカンの支持を最終的・確定的なものにしていく上でも潜在的にはきわめて大きな意味をもっていると思う。この議論にサンダースが失敗すると、それは「多民族国家」アメリカにとって民族的・国家的なトラウマにふれる可能性がある。

 冒頭にふれたように、この問題は民主党・共和党の争いに大統領選挙が移行した段階では論争の重要な焦点になる。それはなかなか厳しいものになるのではないかと思う。しかし、サンダースならば、このトラウマを解く展望を論争のなかで示唆することができるのではないだろうか。それが可能ならば、サンダースは第45代アメリカ大統領になることができるのではないかというのが、(人の国の大統領に希望をしてもしょうがないが)、私の希望である。

 それはおそらく中東問題についての歴史認識を明示し、それを前提にして平和の世界戦略を語ることによってしか突破できないのではないだろうか。ケネディともオバマとも違う、歴史認識に支えられた、ジャーナリズムからもアカデミズムからも賛同を獲得できるような世界戦略である。

 その場合の基本は、そもそも中東問題は19~20世紀のヨーロッパが作り出した問題であることの確認であろう。ヨーロッパ列強のオスマントルコへの侵略と領土要求、シオニズムの利用の上に、イスラエル入植国家の組織の方向が動き出し、ナチズムとスターリニズム(そして第二次世界大戦それ自体)によるヨーロッパにおけるユダヤ系社会の壊滅のうえにイスラエルは存立し、発展した。
 つまり、イスラエルーパレスティナ問題とは、ヨーロッパー中東問題の一つの領土的結果であり、その棘がみえる場の問題である。それ故に、それは一種の従属方程式なのであって、ヨーロッパー中東問題の枠組み全体の見直しのなかでしか解決できない種類の問題であることの確認が必要である。「二国家解決」もバイナショナリズムの構想もヨーロッパー中東(アラブ)問題の枠組みから切り離された独立方程式ではありえないことの確認である。


 それ故にまず必要なことは、以上のような歴史状況認識を前提にアメリカ大統領としてヨーロッパの関わりを問い返すというパフォーマンスをすることだろう。いまヨーロッパの政治世界も思想や学術に関わる世界も、中東への歴史的責任それ自体を問おうとはしていないようにみえる。彼らは16世紀の世界資本主義の形成期以降、世界の富を奪い取ってきた蓄積の上にたって安息し、退廃している。先日のテロに襲われたフランスの政界の動きをみていているとそう思わざるをえない。無差別テロは許さるものでなく、歴史によって正統化することはできないが、それに対する批判を実効的なものとするためには歴史的視野がどうしても必要である。いまのヨーロッパは鈍すぎるように思う。

 それを批判し、真剣な討論をヨーロッパに問いかけるという宣言がアメリカにとっては重要な出発点になりうると思う。そこをベースにして発言することはアメリカのヨーロッパコンプレクスとも関わって、十分に現実的意味をもちうると思う。ヨーロッパの代わりに、ヨーロッパの19~20世紀の愚行と歴史的錯誤の責任をとらされるのは「もういやだ」、アメリカでははやり言葉らしいが「Enough is enough」という宣言である。

 もちろん、さらにその先の世界戦略それ自体には多様な問題があろうが、何よりも重要なのは、現在のアメリカ大統領候補のなかで、イラク戦争に一貫して反対してきたサンダースにのみ、こういう議論とパフォーマンスをする権利があるということである。

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