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2016年6月11日 (土)

サンダースが民主党予備選に参加するにあたってした約束

 バーニー・サンダースはオバマと会った後にインタビューに応じた。それらをみていると、すでに民主党の内部に入って、選挙綱領に主要な国内政策を反映し、さらに秋の大統領選挙と同時に行われる上下両院選挙その他、各地の選挙で、インディペンデントあるいはプログレッシヴの候補を多く当選させるという方向に転換したようである。

 オバマのサンダースとの会見の直後に、オバマがクリントンを支持するというヴィデオがクリントンの集会で上映された。問題は、オバマが、同じ日にアフガン介入の姿勢を強め、「より先制的にアフガン政府軍に支援を行い、タリバン攻撃にドローン使用を拡大する」という指示を出したことである。

 サンダースが「平和」の要求を強く打ち出すのではないかという、私の希望的観測は外れた。

 サンダースは、トランプを大統領にしないためにクリントンとも会談するという。
 「民主党リベラル」にとっては、それだけでなく「共和党本流」にとってもトランプは嫌であろう。それはアメリカの国内問題としてはそうかもしれない。しかし、クリントンとトランプのどちらが、アメリカが遂行している戦争においてより攻撃的な立場をとるかはいちがいには決められない。町山智浩氏がいうようにトランプに孤立主義の傾向があることも事実だ。実際には危険にしても、ともかくクリントンは、すでに乱暴なリビア攻撃を主導し、中東問題をさらに複雑化させた実績がある。少しは「上品」そうにみえるかどうかは、現にアメリカの戦争行為によって厳しい状況におかれている中東の人びとにとって関係ない問題だ。

 アメリカ国外のものにとっては、まず7月の民主党大会では平和綱領と中東からの撤退方針を明示するという方向を追究するのが当然のことだ。もちろん、それはそもそもサンダースの選挙方針の中には明瞭な形では入っていなかった。またたしかに国内での格差の拡大、ブラックの男たちを民間刑務所に送り込む体制その他、その他、アメリカ国内の問題は耐えられない状況ではあろう。しかし、それより前に、アメリカは現在戦争を遂行している国家である。これを止めるということを中心の課題とするということでなければ国際的な共感をえることはできない。それを明示した後にならば、妥協も仕方がないだろうが、それを提示しないままで秋まで進むとすると、サンダースも二大政党制の呪縛にひっかかりながら進んでいくということになるのではないか。

 昨日の独立ネットテレビ放送、「デモクラシー・ナウ」に、サンダースが、昨年7月、民主党の指名を得られなかった場合に、第三党から立候補するのかと問われて、「ノー。私はそれをしないと約束したし、それを守る。その理由は共和党からでる極右の候補の当選に責任があるというような立場にたつことはできないからだ」といったというヴィデオが放映されている。これはサンダースが民主党の大統領候補となる際に、条件として、それを約束した訳である。

 アメリカの政治制度からいって、民主党を内部から変えていくほかないというのはその通りであろう。これも「デモクラシー・ナウ」にでてきたサンダースの上級アドヴァイザーのラリー・コーエンは民主党は内と外の両側で動くといっている。

 アメリカの二大政党システムは、アメリカ合州国憲法に規定された大統領選挙制度によって支えられているから、そう簡単に変えられない。いわゆる「多数決民主主義」の考え方に貫かれている憲法を変更しなければ、どうしても二大政党制は残る。それゆえに、外側から第三党で立候補するという方針は賛同をえるのはむずかしい。

 4年後をみて徐々に民主党と、その一次選挙(いわゆる予備選挙)を改革していくというサンダースの方向自身は当然のことであろう。ロバート・ライシュはすでに「2020年にむけて」といっている。

 しかし、7月の民主党大会では平和綱領と中東からの撤退方針を明示するという方向がとれなければ、議論は曖昧化し、先行きは不安定になる。

 私などの世代的な感じだと、60年代末から70年代にかけて、つまり公民権運動からベトナム戦争反対の運動の時期に、アメリカの社会運動のなかでは大きな内紛があった。なにしろ彼らはあまり筋の通った議論はしない。アメリカはきわめて複雑な国だから、それが繰り返される恐れは十分にある。もう一度それがあるとアメリカはまたさらに危険な火薬庫になる。サンダースのように民主党の内外両方で動くことができるという経歴や実績をもつ人びとと、第三党(たとえば緑の党)に動くような人びとが相互に合意し、了解できるような議論をしてほしいものだと思う。

 これは他国のことであるが、アメリカの対岸にいる私たちにとっても他人事ではない。寛容と合同の精神で競争ということだろう。

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