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2017年6月17日 (土)

今日は千葉の朝日カルチャーセンターで「日蓮聖教紙背文書と千葉の町・村」という講演。以下が要約

 今日は千葉の朝日カルチャーセンターで「日蓮聖教紙背文書と千葉の町・村」という講演。以下が要約
 はじめに
  中山法華経寺の所蔵する日蓮上人筆の聖教は、書状などの反古を裏返してノートに仕立てて執筆された(総通数一一七通)。
(1)『双紙要文』、文永六年(一二六九)頃、四三通
(2)『天台肝要文』、文永六年(一二六九)頃。三八通
(3)『破禅宗』、文永一二年(一二七五)。八通
(4)『秘書要文』。正元二年(一二五九))二八通
『千葉県史』資料編中世2所収
これらのうち宛先が分かるもの四〇通。うち富木氏に宛てたもの二三通。その殆どが、日蓮の外護者。中山法華経寺の開基の檀那であり、下総国守護であった千葉氏の吏僚。富木常忍。日蓮側近の活動が分かる。
用紙として日蓮に渡されなければ失われてしまったような日常的な手紙であるだけに、逆にきわめて価値が高い
 
 千葉の町と村について12・13世紀の状況を話す。末尾の論文によって一応の全体像を話した。
 

 率直に言って千葉県や千葉市は、は歴史文化や自然環境保護に冷淡である。生活しやすい町を作る上でも問題が多い。市史の通史編さえない。千葉は房総と三浦と東京湾岸をつなぐ重要地域だが、都市計画が本当にひどい。
 いつもサイクリングにでかける自転車道を通るたびにそう思う。

 以下は最後の結論部分
①歴史的景観
  猪鼻山からの景色は富士が見え、港がみえる景勝の地であった。歴史学からいうと、「猪鼻城」なるものは無意味であると同時に、「港の見える丘・聖地」という基本的なイメージを曖昧にする有害なものということにある。

 日本の各地に立てられている城は、第二次世界大戦後、歴史的景観を破壊し、無秩序な乱開発を行ってきた日本史上、もっとも非文化的な歴代政府の象徴である。これが歴史学者共通の意見です。

 千葉市の景観を部分的にでも復元する都市計画を、今後、考える上で、日蓮聖教紙背文書の位置は大きい。歴史を学ぶことは景観と自然の現状と将来への展望を考えることである。今が最後の機会かもしれない。

②千葉荘の町と村の両方が分かる。
 日蓮聖教紙背文書は、千葉けん千葉市にとって書くことのできない歴史的文化財である。領主=千葉氏、地主=寺山殿、百姓=橘重光(相当に有力)。普通、これまでは東国の百姓は、こういう自立性をもっていないと考えられる場合が多かった。そんなことはないということになる

 考古学的な分析、発掘・調査によってさらに具体的に地域の状況を知っていく必要がある。梁瀬裕一は「住民の姿などの具体的な中世千葉の解明は今後の課題である。そのためには、現市街地の下に埋もれている中世都市千葉の発掘調査が、是非とも必要であることを強調しておきたい」とする。
 
③アーカイヴズについて
 これは偶然に残った文書である。しかし、宗教文化財がいかに重要であるか。大事なものと考えることによって残ってきた。これらの文書は、中世の千葉県の社会の実態を知るために、きわめて興味深い文書である。全国的に希有な文書といってよい。
 過去の歴史はわからないことが多い。それはまずは昔の社会が(現在と同じように)あわただしく経過していたためである。これだけ苦労する。しかし、すでにそのようなあわただしい歴史の作り方は許されなくなっている。過去をよく知ることが未来の前提である。日本社会は乱開発が普通であるとともに、アーカイヴズが存在せず、遅れた非文明的な社会。
 現在の社会の歴史の情報を一〇〇年後、一〇〇〇年後の人に伝える。その覚悟をもって国家社会を運営すること。それによってすべてを白日の下でみること。これを躊躇してはならない。


 参考文献。
 梁瀬裕一「中世の千葉町」(野口実編『千葉氏の研究』名著出版)。同「中世の千葉 ~千葉堀内の景観について~」(『千葉いまむかし』第13号)。

 保立道久「日蓮聖教紙背文書、二通」(一九九一年、後に野口実編『千葉氏の研究』名著出版)

『千葉市源町遺跡群』発掘報告書(二〇〇一年千葉市文化財調査協会)梁瀬裕一執筆

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