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岩波文庫、私の三冊

以前に書いた岩波文庫からの「私の三冊」を下記に。

(1)『経済学・哲学草稿』(マルクス/城塚登・田中吉六訳)

高校時代、はじめて徹底的に読んだ「哲学書」。傍線の跡が懐かしい。私は歴史学に進んだが、今から考えると、天才的な思想の発生の場を確認する作業は歴史学のテキストクリティークに似ている。

(2)『人間機械論』(ド・ラ・メトリ/杉捷夫訳)

唯物論は「物」への感性を大事にする面と、「物」に特殊な呪術性を与えることへの哄笑の両側面をもつ。そこから生まれる明るい冗舌と快楽主義によって、現代を告知したフランス唯物論の傑作。

(3)竹取物語(阪倉篤義校訂)

私は岩波文庫の薄いのが好きだ。安いから高校生も揃えやすい。『竹取』の著者は、日本思想史において始めて王権・天皇制に対峙する想像力をもった人物。日本文学の中でも出色の完成度をもつ。

          『図書』臨時増刊、2007年四月